第10回WI2研究会報告

2017年7月7日(金)・8日(土)に,京都大学百周年時計台記念館(京都)にて第10回WI2研究会を開催致しました.一般発表は,ロング発表・ショート発表,技術報告合わせて16件の発表がありました.

ニューラルネットワーク,テキスト処理,地域情報・SNS,ユーザインタフェース・ユーザ分析に関するセッションがありました.新たな試みとして実施したポスターセッションでは,7件の発表がありました.参加者数は107人でした.

→プログラム →招待講演 →表彰 →副座長報告 →学生参加報告 →運営委員会

日時・会場

日時: 2017年7月7日(金)10:50~18:05
2017年7月8日(土)10:00~16:30
会場: 京都大学百周年時計台記念館 国際交流ホールⅡ
(〒606-8501 京都市左京区吉田本町)

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/access/campus/yoshida/map6r_y/

アルバム

一般発表の様子です
一般発表の様子です
招待講演の様子です
質疑応答の様子です

質疑応答の様子です

会場の様子です

懇親会の様子です

懇親会の様子です
ポスターセッションの様子です
ポスターセッションの様子です
優秀研究賞の表彰です
萌芽研究賞の表彰です
学生奨励賞の表彰です
学生奨励賞の表彰です

プログラム

■7月7日(金) (受付 10:20~)
10:50-11:00 オープニング
11:00-12:00 セッション1:ニューラルネットワーク
座長:西原 陽子(立命館大学),副座長:河合 由起子(京都産業大学)
(ロング発表)
1 多層パーセプトロンを用いた効率的な共有潜在空間の推定☆
大山 まりほ,小林 一郎(お茶の水女子大学)
2 評価行列からの潜在因子推定における制限ボルツマンマシンの挙動解析☆
柴田 祐樹,高間 康史(首都大学東京)
12:00-13:30 昼休憩
13:30-15:00 セッション2:テキスト処理
座長:熊本 忠彦(千葉工業大学),副座長:大塚 真吾(神奈川工科大学)
(ロング発表)
3 文重要度と図表引用文の位置情報を用いた図表の重要度推定☆
平岡 誉史,山西 良典,福本 淳一,西原 陽子(立命館大学)
(ショート発表)
4 遺伝的アルゴリズムを用いた文書間類似度による小説要約システムの性能評価☆
今野 勇気,荒木 健治(北海道大学)
5 新聞社のニュース説明文における記事の要約特徴分析☆
川上 沙耶加,吉井 理乃,藤代 裕之(法政大学)
6 単語の分散表現により獲得した類似語を用いたFAQ検索システムの性能評価☆
奥野 翔太,荒木 健治(北海道大学)
15:00-15:15 休憩
15:15-17:15 セッション3:地域情報・SNS
座長:北山 大輔(工学院大学),副座長:櫻井 茂明(東芝インダストリアルICTソリューション社)
(ロング発表)
7 地域型イベントの収集とその分類手法の検証☆
福馬 智生,鳥海 不二夫(東京大学)
8 アメダスの観測データを用いたTWITTERユーザの居住地推定の試み☆
近藤 佑樹(豊橋技術科学大学),萩行 正嗣(株式会社ウェザーニューズ),吉田 光男,梅村 恭司(豊橋技術科学大学)
(ショート発表)
9 ジオタグツイートの多言語分析に基づくレストラン推薦手法の提案☆
先原 進之介,白数 紘之(京都産業大学),王 元元(山口大学),河合 由起子(京都産業大学),アダム ヤトフト(京都大学)
10 ソーシャルメディアにおける利己主義と利他主義の影響に関する基礎調査☆
大石悠介,冨永登夢(大阪大学),土方嘉徳(関西学院大学),山下直美(NTT),原田研介(大阪大学)
11 Twitterにおける現実・仮想世界の友人関係に関する基礎調査☆
小森 崇史,吉田 翔吾郎(大阪大学),土方 嘉徳(関西学院大学),酒田 信親,原田 研介(大阪大学)
17:15-17:20 休憩
17:20-18:05 技術報告セッション
座長:吉田 光男(豊橋技術科学大学)
・LIFEをFULLにする研究とは? -「不動産」「介護」「医療」を例として –
 株式会社LIFULL
・リクルートの現場事例から紐解く「AI」技術のビジネス活用のリアル(仮)
 株式会社リクルートテクノロジーズ
18:30- 懇親会
■7月8日(土) (9:30~受付)
10:00-12:00 セッション4:ユーザインタフェース・ユーザ分析
座長:梶並 知記(岡山理科大学),副座長:湯本高行(兵庫県立大学)
(ロング発表)
12 自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの提案☆
又吉 康綱,久保田 夏美,斉藤 絢基,大島 遼,鈴木 正明,中村 聡史(明治大学)
13 批判的情報検索を促進するクエリプライミング
山本 祐輔(静岡大学),山本 岳洋(京都大学)
(ショート発表)
14 Web情報検索における効果的なメタ認知支援手法の検討~認知的負荷に着目した検索プロセスの分析~☆
青山 優里彩,松村 敦,宇陀 則彦(筑波大学)
15 ウェアラブルセンサを用いたスポーツトレーニング支援技術とサービスへの展望
石田 和成(広島工業大学)
16 考えるための検索インタフェース Genko
大坪 五郎((株)ライフル)
12:00-13:30 昼休憩
13:30-14:30 招待講演
司会:杉原 太郎(岡山大学)
「情報の信頼性評価を支える批判的思考と情報リテラシー」
楠見 孝(京都大学)
14:30-14:45 休憩
14:45-16:15 ポスターセッション
2 評価行列からの潜在因子推定における制限ボルツマンマシンの挙動解析☆
柴田 祐樹,高間 康史(首都大学東京)
3 文重要度と図表引用文の位置情報を用いた図表の重要度推定☆
平岡 誉史,山西 良典,福本 淳一,西原 陽子(立命館大学)
9 ジオタグツイートの多言語分析に基づくレストラン推薦手法の提案☆
先原 進之介,白数 紘之(京都産業大学),王 元元(山口大学),河合 由起子(京都産業大学),アダム ヤトフト(京都大学)
10 ソーシャルメディアにおける利己主義と利他主義の影響に関する基礎調査☆
大石悠介,冨永登夢(大阪大学),土方嘉徳(関西学院大学),山下直美(NTT),原田研介(大阪大学)
11 Twitterにおける現実・仮想世界の友人関係に関する基礎調査☆
小森 崇史,吉田 翔吾郎(大阪大学),土方 嘉徳(関西学院大学),酒田 信親,原田 研介(大阪大学)
12 自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの提案☆
又吉 康綱,久保田 夏美,斉藤 絢基,大島 遼,鈴木 正明,中村 聡史(明治大学)
13 批判的情報検索を促進するクエリプライミング
山本 祐輔(静岡大学),山本 岳洋(京都大学)
16:15-16:30 表彰式・クロージング

招待講演:「情報の信頼性評価を支える批判的思考と情報リテラシー」

司会: 杉原太郎(岡山大学)
講演者: 楠見 孝(京都大学)
講演概要: ウェブやソーシャルメディアにおいては,情報の信頼性を評価することが重要である.本講演では,第一に,人が,批判的思考と情報リテラシーによって,どのように情報信頼性を評価しているのか,そこには,どのような認知能力の限界があるのかについて述べる.第2に,情報信頼性分析システムの支援を受けて,人が,証拠の強さや量,意見分布を知った上で,判断すること,さらにシステムの利用が,人の批判的思考力を高めていく可能性について述べる.

表彰

WI2研究会では,出席したWI2委員全員により,全ての発表の聴講と評価を行っております.今回,各賞を受賞された研究は以下のようになります.

優秀研究賞
自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの提案
又吉 康綱,久保田 夏美,斉藤 絢基,大島 遼,鈴木 正明,中村 聡(明治大学)

萌芽研究賞
批判的情報検索を促進するクエリプライミング
山本 祐輔(静岡大学),山本 岳洋(京都大学)

学生奨励賞
Twitterにおける現実・仮想世界の友人関係に関する基礎調査
小森 崇史,吉田 翔吾郎(大阪大学),土方 嘉徳(関西学院大学),酒田 信親,原田 研介(大阪大学)

地域型イベントの収集とその分類手法の検証
福馬 智生,鳥海 不二夫(東京大学)

副座長報告

セッション1:ニューラルネットワーク
副座長:河合由起子(京都産業大学)

1件目の発表では、異なる次元を持つ各データを共有する空間上に射影し次元を揃えて比較することを目的に、潜在空間内のデータにおける関係もガウ ス過程でとらえる Gaussian Process Dynamical Models(GPDM) に多層パーセプトロン(MLP)の最適化手法を適用した手法を提案された。Kinectの左手動作実験結果の縦横サイズに関して質問があり、今後、復元したものから評価する必要があるということであった。また、GPDMの論文中の式(10)に関して時間依存性が導入されているか、それはRBF線形 カーネルとどのように関係するかとの質問があり、時間依存性を考慮しているが、利用したカーネルがRBFであり直接の関係はないという回答であっ た。さらに、圧縮率の目標に関しては、今後人物の実機による動作認識実験で考察予定であるということであった。
2件目の発表では、評価値行列からの潜在因子推定に適用した際のRBM(Restrected Boltzman Machine) の挙動を解析した結果、RBMは基底ベクトルを復元可能であり、SVDはランダムベクトルの場合に優位であるという報告であった。
また、今後実データでの評価検証を行う予定ということであった。質問では、アイテム潜在因子の元の基底に近いスパースの可視化(論文中図5から 8)の見方に関する質問であった。また、どのぐらい複雑なモデルで精度向上が見込まれるのかという質問では、RBMだと潜在因子がスパースな場合 だと従来手法より有用であることが見込まれるということであった。それに関連して、実データでスパースなものかどうかを事前に判断できるのかという質問が続き、実データセットからは難しいということであった。

セッション2:テキスト処理
副座長:大塚真吾(神奈川工科大学)

セッション2(ロング発表1件, ショート発表3件)では、文章から重要語や類似語を抽出する手法などに関する発表があった。
1つ目の発表では、まず、論文中から重要な図表を抽出する手法の提案があり、論文中での引用した場所や引用回数から、図表の重要度を算出する方法や実験結果の説明があった。質疑では、図表の引用する場所に関する議論や重要度の計算方法に関する議論などがあり、提案手法の改良に関するコメントなどもあった。また、実験では論文を元に作成されたポスターを正解データとしており、それに関して様々な議論があった。
2つ目の発表では、ユーザが小説を探すことを手助けするために、遺伝的アルゴリズムを用いて小説要約を行う手法の提案があり、評価実験の結果も示された。質疑では、小説はシーケンシャルな情報なのに対して、提案手法ではJaccard係数を利用した理由や、遺伝的アルゴリズムを使った理由など、提案手法に関する議論が行われた。また、研究目的である「読みたい小説を選ぶための要約」に関して、ネタバレなどをどう扱うかなどの議論もあった。
3つ目の発表では、新聞社が発行するニュース記事をWebページやSNSを用いて発信する場合に、ユーザの興味を引くためにタイトルや要約をどのように作成しているのかの調査について発表があった。質疑では、対象とするニュース記事が紙媒体を発行している新聞社だけなのか、ネット新聞も含まれているのかという質問があり、発表者からは前者を対象としたいという回答があった。また、各記者がニュース記事のタイトルに付加している情報に関する議論も行われ、各記者が本当に訴求効果を目指しているのか確認した方が良いというコメントもあった。
4つ目の発表では、Word2Vecを用いてFAQデータからユーザの質問に適した回答を抽出する手法の提案があり、評価実験に関する考察なども示された。
質疑では、WikipediaやFAQ以外の文書データを使ったほうが良いなどのコメントや、FAQの中で質問と回答のコーパスを分けて処理したほうが良いなどのコメントがあった。また、Word2Vecを用いたことに関する議論や名詞、動詞、副詞、形容詞などの品詞を使った効果に関する議論が行われた。

セッション3:地域情報・SNS
副座長:櫻井茂明(東芝デジタルソリューションズ)

1件目の発表(ロング)では、予告型の地域イベントに関する情報を、WebやTwitterから収集して、開催場所やその期間を特定する手法が提案された。また、イベントのカテゴリ推定にLabeled LDAを適用し、正解カテゴリと感覚的に一致する単語の分布を獲得することが確認された。未知のイベント数を予め決めるのは難しいのではないかとの質疑に対しては、トピック数は自由に設定可能なため、少ないトピック数からはじめて、結果を見ながら調整することが可能との回答がなされた。カテゴリごとに情報推薦の仕方も変わると考えられるので、その方向での検討もするとよいといったコメントがなされた。
2件目の発表(ロング)では、アメダスの観測データを利用することにより、Twitterユーザの居住地を推定する方法が提案された。また、単語ベースの既存法との比較を通して、提案法における推定精度向上が報告された。天気の情報を利用したTweetがどの程度あるのかとの質疑に対しては、現状調査できていないとの回答がなされ、研究の有用性を示す上では調査した方がよいとのコメントがなされた。この他、ゲリラ豪雨といった局地的な雨の場合、アメダスのデータでは拾いきれないのではないかとの質疑がなされ、Tweet内容とアメダスのデータが明らかに一致していない投稿が見受けられたとの回答がなされた。
3件目の発表(ショート)では、Tweet発信ユーザの母国語及び内容に記述されている言及言語の違いを抽出することで、国民の嗜好性を解明し、国民性に合ったレストランを推薦する手法が提案された。また、欧州領域におけるTweetを対象にした実験結果が報告された。同じ国であっても地域性があるのではなかとの質疑に対しては、地域性に関してはまだ十分に調査できていないとの回答がなされ、Tweetの内容を精査した方がよいとのコメントがなされた。Tweetによって嗜好性が取れていることが多様性評価の前提ではないかとの質疑に対しては、出力の違いが現状確認できているのに留まっているとの回答がなされた。
4件目の発表(ショート)では、投稿者が情報を他者に伝達する際に、利己主義と利他主義のどちらの意図をどの程度強く持っているかを、投稿者と閲覧者に対するアンケートに基づいて調査した結果が報告された。利己と利他の違いをどのように利用していくのかとの質疑に対して、投稿者の投稿内容改善に対するフィードバックに活用していくとの回答がなされた。また、自分のために投稿したと回答する投稿者は少ないのではないかとの質疑に対しては、評価した印象としては利己と回答した投稿者は少なかったとの回答がなされ、その辺りの数値を基礎数値として把握しておいた方がよいとのコメントがなされた。
5件目の発表(ショート)では、Twitterにおいて、相互フォロー関係にあるユーザ同士が実世界で関係を持つか否かで、Twitterの利用特徴に違いがあることが示されるとともに、現実・仮想世界の友人関係を判別可能なことが報告された。仮想世界の友人の定義に関する質疑では、相互フォローしている友人の中で、アンケートにおいてもそのように回答した人との回答がなされた。また、企業アカウントやボットは事前に対象から除外しているとの回答がなされた。この他、友人間の関係性としては、現実と仮想の間にあるような関係性もあると考えられるので、評価した方がよいとのコメントがなされた。

セッション4 :ユーザインタフェース・ユーザ分析
副座長:湯本高行(兵庫県立大学)

1件目の発表は手書き文字を自分や他者の文字と平均化することできれいにするシステムの提案であった。質疑では、このシステムが利用者自身の書く文字に与える影響(きれいな文字が書けるようになったり、システムに頼ることにより文字が雑になったりするなど)についての質問や既存フォントではなく手書き文字を利用することの是非についての質問があった。
2件目の発表は、批判的情報検索が促進されるような補完クエリを提示した場合、実際に検索時の閲覧文書数や閲覧時間、閲覧文書の多様性は向上するのかを調査した結果の報告であった。質疑では、この実験方法では対立的な情報を公平に見たかどうかはわかるが批判的な態度で検索ができたかはわからないのではないか、信頼性のある情報を取得できたかどうかも評価できたらよかったのではないかなどの指摘があった。また、批判的な思考が万人に可能かは明らかではないので、被験者の属性情報も併せて収集すべきだったのではないかとのコメントがあった。
3件目の発表は、Web検索中にメタ認知による支援が必要になるタイミングを調べるため、どのようなタイミングでつまずいているかを調査した結果についての報告であった。質疑では、メタ認知の定義とどの部分に注目しているかについての質問があった。これに対して、メタ認知は知識や活動を含む広い概念であり、その中でも特に活動に注目しているとの回答があった。
4件目は、スケートボードやBMXなどのアクションスポーツのトレーニング支援を目的とした、ウェアラブルセンサを用いた計測システムとそれを用いた分析についての発表であった。この発表では、トレーナーのアドバイスにはなく、センサデータから読み取れたコツに従ってトレーニングを行うことで技能が向上した事例が紹介された。
5件目は、深い思考を行うことを目的とした、命題のインタラクティブな検索インタフェースについての発表であった。質疑では、深い思考を行う際に提示されるものがリアルタイムで大きく変わるのはよいのかという質問があり、これに対して、ある程度近いものは提示されるようにしているが、命題が広い意味を持つことを知らせるためにあえてそうしているとの回答であった。また、このシステムがフィルタバブルを強化する方向に働く可能性についての指摘があり、反対のものを出すことも必要であるとの回答であった。

学生参加報告

(旅費支援対象者による参加報告)


報告者:奥野 翔太(北海道大学)
2017年7月7日(金)と8日(土)に,京都大学にて,第10回ARG WI2研究会が開催された.今回のARG WI2研究会の一般発表では,ニューラルネットワーク,テキスト処理,地域情報・SNS,ユーザインターフェース・ユーザ分析の4つのセッションが開催され,ロング発表・ショート発表合わせて16件の発表が行われた.また,口頭での発表に加え,希望者によるポスター発表も行われた.さらに,技術報告セッションや招待講演も開催され,両日とも活気のある発表や意見交換が行われた.本報告では個人的に興味深かった発表を紹介する.
立命館大学大学院の平岡氏らによる「文重要度と図表引用文の位置情報を用いた図表の重要度推定」では,単語の出現頻度や文同士の類似度から算出した文重要度と,図表と図表引用文の距離から算出される重みを用いて図表の重要度を推定する手法を提案している.図表引用文と周辺文の位置関係を考慮することで,キャプション文の文字数や図表の大きさに左右されず,論文によらず高い精度を示している.図表引用文の出現回数が図表の重要度に与える影響に関する考察では,図表を掲載する著者の意図によって各図表の重要度に差異が生じること着目し,図表の重要度のみならず図表の役割に対しての考慮を今後の課題として挙げている.今後はポスター作成補助や他のマルチメディア情報への応用が検討されており,今後の展開がとても楽しみである.
豊橋技術科学大学の近藤氏らによる「アメダスの観測データを用いたTwitterユーザの居住地推定の試み」では,Twitterをソーシャルセンサとみなしてユーザの居住地を推定する手法を提案している.具体的には,アメダスによる観測データを用いてツイートが投稿されたエリアでの投稿された日時の天気をラベルとし,位置情報付きツイートを特徴ベクトルに変換したものにラベルを付与して作成したラベル付き特徴ベクトルをSVMにて学習を行い,ユーザが投稿したツイートにSVMを用いて天気のラベルを推定し,アメダスによる観測データと照応することでユーザの居住地を推定する.従来手法であるエリアごとの単語の分布を用いる居住地推定手法と比較して,Twitterのデータだけでなくアメダスによる観測データと結びづけるという点が非常にユニークであると感じた.現在,Twitterをソーシャルセンサとみなすことでイベントや感染病の流行を検知する研究も盛んに行われており,ソーシャルメディアを用いた実世界観測の研究にさらなる可能性を感じた.
今回の研究会では様々な分野の発表を聞くことができた.自分自身の研究の参考になる発表もあり,大変勉強になった.また,自分の発表では様々な意見を頂いたので今後の研究に生かしたいと思う.


報告者:近藤 佑樹(豊橋技術科学大学)
平成29年7月7日(金),8日(土)に,京都大学百周年時計台記念館にて第10回Webインテリジェンスとインタラクション研究会が開催された.二日間で16件の発表と招待講演,ポスターセッションが行われ,いずれにおいても活発な議論が交わされた.
1日目はニューラルネットワーク,テキスト処理,地域情報・SNSのセッションが行われ,ロング発表5件とショート発表6件の計11件の発表があった.1日目の発表のうち個人的に興味を持ったものとして,東京大学大学院の福馬氏らによる「地域型イベントの収集とその分類手法の検証」を紹介する.
この研究はイベントを予告する情報をWebやTwitterから収集し,イベントの開催場所,期間の抽出とカテゴリを推定することを目的としている.イベントの開催場所と期間は正規表現などを用いて抽出し,イベントのカテゴリは,イベントの予告情報を元にLabeled LDAを用いて推定している.今後の課題として,Twitterのデータを対象としてイベント情報のカテゴリ推定を行うことが挙げられていた.Twitterにおけるマーケティングへの応用など,実用性が高く,今後の成果に期待できる研究であると感じた.
1日目の発表終了後に懇親会が行われたが,諸事情により参加できなかった.
2日目はユーザインタフェース・ユーザ分析のセッションが行われた.ロング発表2件とショート発表3件に加えて,招待講演とポスターセッションが行われた.
2日目の発表では,静岡大学大学院の山本氏らによる「批判的情報検索を促進するクエリプライミング」が個人的に興味深かった.Webから情報を得る際には常に情報源の信頼性について考える必要があり,このような思考は批判的思考と呼ばれる.この研究は,検索エンジンでクエリを入力した際に補完されるキーワードを調整することによって,ユーザの批判的思考を促進しようとするものである.批判的思考を促すキーワードは,クラウドソーシングにより収集している.収集したキーワードを補完するシステムを作成して比較実験を行った結果,作成したシステムは,通常のクエリ補完システムと比較して,批判的な情報検索促進することが示唆されたと報告している.近年,フェイクニュースやメディアの信頼性が話題となっているが,この発表を聞いて批判的思考の重要性を強く感じた.
招待講演では,京都大学の楠見孝氏により「情報の信頼性評価を支える批判的思考と情報リテラシー」という題目で講演が行われた.情報の信頼性評価における研究の成果が報告された.特に,統計的な情報があまり信頼されないという結果について危機感を持った.しかしこれは統計についての知識を,自分の判断に応用できるほどの深さで持っている人が少ないからではないかとも感じた.
招待講演終了後にポスターセッションが行われた.発表者との距離が近いことなどもあり,より深いところまで踏み込んだ議論が盛んに行われていた.
感想として,自分の研究の成果をまとめて発表し,内容についてのコメントを受けることで,研究の方向性がより明確になったように感じた.また,自分の研究に対してのモチベーションが高まった.様々な分野の発表を聞くことができ,有意義な時間を過ごすことができた.


報告者:今野 勇気(北海道大学)
1. はじめに
2017年7月7日(金)から8日(土)にかけて,京都大学百周年時計台記念館において,第10回ARG WI2(Webインテリジェンスとインタラクション)研究会が行われた.両日大勢の人が訪れ,活発な議論が行われた.
本報告では,ARG WI2研究会の概要と発表の中で特に筆者が印象に残っているものを紹介する.
2. 研究会概要
今回のARG WI2研究会では,ロング発表が7件,ショート発表9件,また,楠見孝先生による招待講演が行われた.各セッションは以下の通りである.
セッション1:ニューラルネットワーク
セッション2:テキスト処理
セッション3:地域情報・SNS
セッション4:ユーザーインターフェース・ユーザー分析
3. 一般発表
1日目で特に印象に残った発表は,平岡誉氏による「文重要度と図表引用文の位置情報を用いた図表の重要度推定」である.科学技術論文では,言語情報のみではなかなか理解しがたい内容を理解しやすくするために図表が用いられている.その中でも重要であるとされる図表をポスター発表時のポスターに採用された図表と仮定し,論文中の図表を引用した文の重要度から重み付けを行い,重要な図表を推定している.図表という画像情報の重要度推定というテーマに対し,言語情報という異なる性質の情報を使って推定を行うというアプローチがとてもユニークだと感じた.また,他の研究と組み合わせ,論文からポスターを制作することが展望であるとのことだったので,今後研究がどのような方向に進んでいくのかとても楽しみである.
2日目では,山本祐輔氏による「批判的情報検索を促進するクエリプライミング」という発表が印象に残っている.ウェブが情報基盤の一つに数えられるようになったが,未だにウェブ上の情報は信憑性が問題にあげられる.この問題に対し,ユーザー自身が批判的な情報検索を行わせるようなクエリ補完を行うことで解決しようとしている.信憑性の高い情報を得るために情報結果を操作する手法が多いなかで,クエリ補完によってユーザーに信憑性の高い情報検索を行わせようとする手法がとてもユニークであると感じた.現代社会においてウェブ上の情報の信憑性は大きな問題であると思う.今後はパーソナリティがこの提案手法に与える影響を明らかにしていくとのことなので,より実用的なシステムになることを願っている.
4. おわりに
本研究会に参加したことで,普段関わることのない分野の研究についての発表を聞くことができた.また,自分にとって初めての研究会での発表ということもあり,自分の研究の改善点や発表の反省点を得ることができた.この経験を今後の研究や発表に生かし,自分の研究をより良いものにしていきたいと思う.


報告者:平岡 誉史(立命館大学)
1日目は,ニューラルネットワーク,テキスト処理,地域情報・SNSの3つのセクションと技術報告セクションの計4つのセクションが行われた.この中から特に関心を持ったものを簡単に報告する.
福馬らの「地域型イベントの収集とその分類手法の検証」では,地域イベント等の情報をWEBやTwitterから収集し,開催場所や期間を特定する手法が検討された.また,得られた情報からどういったイベントなのかのカテゴリの推定を行うLabled LDAを用いた教師ありの手法も検討された.イベントでは,多くの人が集まるため飲食物等の需要が確かに増えると感じる.そのため,開催場所周辺の店舗では,イベントの期間やカテゴリという情報は商品の仕入れ等を考えるマーケティングの面で重要な情報となると思われる.また,地域のイベント情報は案外開催場所周辺の住民でも知らないことが多いように思う.そこで,これらのイベントの情報を開催場所周辺の住民等へ共有することでイベントそのものの集客力向上などにも有効ではないかと感じた.
2日目は,ユーザインタフェース・ユーザ分析のセクションと楠見孝先生による招待公演が行われた.
又吉らの「自他との平均化により手書きをきれいにするシステムの考案」では,ユーザが書いた手書き文字を自他の文字と融合し提示する手法が提案された.タッチパネルなどのインタフェースが普及したことで,手書き入力がより身近なものとなっている.しかし,実際はまだ手書き入力よりキーボード等で入力する場合のほうが多いように感じる.原因としては,手書き入力された文字等が綺麗でないという点がある.手書き文字を綺麗に修正することは,ユーザ側の手書き入力に対する抵抗を軽減し,手書き入力の質を向上させることができる.直感的な操作が可能なインタフェースの開発においては,ユーザの抵抗や違和感等を軽減していくことも重要であり,この研究のような試みはとても重要だと感じた.今回の発表では文字だけを対象にしていたが,今後絵や図形等に対しても活用していく予定なので今後の展開が楽しみである.
2日間にわたり行われた研究会は,自身の研究分野以外の様々な分野の研究発表が聴け,自身の知識や視野を広げる良い機会になった.また,自身の研究に関しても様々な意見を頂くことができ,自分では見つけられていなかった新たな発見も多々あった.今回の研究会で得た新たな発見を今後の研究発展に生かしていこうと思う.


(予稿集贈呈者によるセッション参加報告)


報告者:高津 晃太(立命館大学)
聴講したセッション:2.テキスト処理,3.地域情報・SNS
発表番号3:論文から要点を抽出する時に必要な図表を推定することを目的としている.元の論文の重要度と図表が引用されている文の位置情報を用いて,使われるべき図表の推定を行うというもの.
発表番号10:ソーシャルメディアにおいて,投稿とは共有行動となる.その行動は利己的な行動と利他的な行動に分けられる.この二つの主義の相違について知見を得る事で意図の相違の要因ついて調査する.


報告者:善 晓远(立命館大学)
聴講したセッション:2. テキスト処理
一番興味が持つのは,テキスト処理セッションです.近年情報通信技術やSNSなどのインターネットサービスの発展に従い,人達で作ったデータの内容量が爆発しました.現在の皆さんは,自分の仕事や学習などの専門領域の知識だけではなく,色んな方面の事も知りたくなって行きます.時代が速くなった故で,皆はこの「他」の事が自分自身の専門領域にみたいで全身全力を入って全てを了解するのはやはり難しいから,特に伝統的な「テキストが超長い文章」の場合は,この問題が益々深くなっています.今度のセッションに参加した皆さんは,全部これについて工夫をしています.文から図表の重要度の分析や小説の概要を生成するなど,そして新聞記事の要約にもっと精確な情報を伝える事とか,これらの研究は全部「長いテキスト文章」を短小化・砕け化をして,核心内容の整理をする事です.これは現代大規模なSNSインターネット時代に,良い道に進んでいると思います.人々は自分が気になるテキスト記事の内容を完全に読まなくても,いち早く把握できるのはとても便利だと思います.


運営委員会

実行統括担当:山本 岳洋(京都大学)
プログラム担当:北山 大輔(工学院大学)
映像配信担当:西原 陽子(立命館大学)

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