第1回WI2研究会報告
2012年12月14日(金)・15日(土)に,神奈川近代文学館にて第1回WI2研究会を開催致しました.一般発表は,ロング発表・ショート発表合わせて27件の発表がありました.内容は教育・学習支援,情報推薦,ソーシャルインタラクション,ユーザ行動分析,情報検索,CGM分析,ライフログなどでした.また,第1回の特別企画として,「Webインテリジェンスとインタラクション研究の未来」という題で5名の方にご講演頂きました.参加者数は122人でした.懇親会は,大珍樓にて食べ放題の中華料理をいただきました.
→プログラム →特別講演 →表彰 →副座長報告 →学生参加報告 →運営委員会
日時・会場
日時: | 2012年12月14日(金) 10:30 – 18:45 2012年12月15日(土) 9:50 – 18:15 |
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会場: | 神奈川近代文学館 〒231-0862 神奈川県横浜市中区山手町 110 http://www.kanabun.or.jp/ |
アルバム
プログラム
■12月14日 (金) (9:45~受付) | |
10:30-10:45 | 開会の挨拶 |
10:45-12:25 | セッション1:教育・学習支援とWeb 座長:江草 由佳(国立教育政策研究所) 副座長:高間 康史(首都大学東京) (ロング発表) 1.シームレスな学習環境を可能にするLTI準拠学習支援ツールの実装例と実装方法 村上幸生(熊本大学) 2.プレゼンテーションと連動したモバイル型レスポンスシステムの開発 越智洋司, 中筋浩之(近畿大学) (ショート発表) 3.キャラクターを用いた学習継続支援ツールの開発 益子博貴, 松村敦, 宇陀則彦(筑波大学) 4.学習コンテンツ推薦に向けた2部ネットワーク分析に基づく習熟度と難易度の推定 手法の提案 三好康夫, 濱田一伸, 鈴木一弘, 塩田研一, 岡本竜(高知大学), 金西計英(徳島大学) |
12:25-13:25 | 昼休憩 |
13:25-14:45 | セッション2:情報推薦 座長:奥 健太(立命館大学) 副座長:加藤 文彦 (情報・システム研究機構) (ショート発表) 5.クロスドメインの情報推薦に関するサーベイ 深澤佑介, 太田順(東京大学) 6.コーディネート情報を利用したセレンディピティのあるブランド推薦システムの検討 川口ひかり, 正田備也(長崎大学) 7.ニュース記事における共起情報を利用したアーティスト推薦アルゴリズムの検討 松尾繭, 正田備也(長崎大学) 8.同行者コンテキスト依存の文書抽出およびトピック解析 深澤佑介, 太田順(東京大学) |
14:45-15:00 | 休憩 |
15:00-16:40 | セッション3:ソーシャルインタラクション 座長:難波 英嗣(広島市立大学) 副座長:杉原 太郎 (北陸先端科学技術大学院大学) (ロング発表) 9.多人数参加型の合意形成支援システムの試作と実験評価 奥村命, 伊藤孝行, 伊藤孝紀, 秀島栄三(名古屋工業大学) 10.主観写真ライフログ探索のための時空人間の活用 中村聡史(京都大学) (ショート発表) 11.ソーシャルメディアにおける支持獲得のための基礎的分析 吉田宏司, 榊剛史, 松尾豊(東京大学) 12.事柄記録のためのカメラ作成による集合知フレームワークの提案 後藤孝行(国立情報学研究所), 濱崎雅弘(産業技術総合研究所), 武田英明(国立情報学研究所) |
16:40-16:55 | 休憩 |
16:55-18:55 | セッション4:ユーザ行動分析 座長:松下 光範(関西大学) 副座長:齋藤 ひとみ (愛知教育大学) (ロング発表) 13.若年者と高齢者のブログに表れたパーソナリティタイプの相違 渡部諭(秋田県立大学) 14.末尾に不読符号列がある短い回答をくりかえしYahoo!知恵袋に投稿するユーザの調査 中嶋邦裕, 梅本顕嗣, 西村涼, 渡辺靖彦, 岡田至弘(龍谷大学), 久保圭(京都大学) (ショート発表) 15.人の営みとして形成されるeネットワークのダイナミクスを解明するための枠組み 中平勝子, 北島宗雄(長岡技術科学大学) 16.Yahoo!知恵袋に投稿されたURLを参照している回答の分析 杉田飛路, 梅本顕嗣, 中嶋邦裕, 渡辺靖彦, 岡田至弘(龍谷大学) 17.閲覧の起点と関連性に注目したユーザ意図の推移追跡 吉田拓磨, 中村明順, 安積卓也, 西尾信彦(立命館大学) |
19:30-21:30 | 懇親会(開始時刻には,若干の変更がある場合がございます) |
■12月15日(土) (9:30~受付) | |
9:50-10:50 | セッション5:情報検索 座長:高久 雅生(物質・材料研究機構) 副座長:河合由起子(京都産業大学) (ショート発表) 18.閲覧者による印象カテゴリを用いたイラスト投稿者の検索手法の提案 宮嶋清人, 関洋平(筑波大学) 19.オノマトペの質感印象に基づく商品ページ検索の可能性 飯場咲紀, 坂本真樹(電気通信大学) 20.初期検索文書のトピック分布に基づく関連性フィードバックの一考察 芹澤翠, 小林一郎(お茶の水女子大学) |
10:50-11:00 | 休憩 |
11:00-12:20 | セッション6:CGM分析 座長:鍜治 伸裕(東京大学) 副座長:山本 岳洋(京都大学) (ロング発表) 21.潜在的意味を考慮したグラフに基づく複数文書要約 北島理沙, 小林一郎(お茶の水女子大学) 22.カテゴリを用いた Wikipedia における著者の質推定手法 岩井一晃, 鈴木優, 石川佳治(名古屋大学) (ショート発表) 23.レビュー文書の比較に基づく記述対象の把握への取り組み 坂梨優, 小林一郎(お茶の水女子大学) |
12:20-13:30 | 昼休憩 |
13:30-16:00 | 特別企画「Webインテリジェンスとインタラクション研究の未来」 24.Human-Recommender Interaction 土方嘉徳(大阪大学) 25.情報可視化によるテキストストリームデータのモニタリング支援 高間康史(首都大学東京) 26.セマンティックウェブの次のステップ:オープンデータと知的処理 大向一輝(国立情報学研究所) 27.研究成果の実用化に向けた セキュリティ・プライバシー保護技術の課題 井口誠(Kii 株式会社) 28.CGMテキストを対象とした自然言語処理: 今後の展望と課題 鍜治伸裕(東京大学) |
16:00-16:15 | 休憩 |
16:15-17:45 | セッション7:ライフログ 座長:濱崎 雅弘(産業技術総合研究所) 副座長:北山 大輔 (工学院大学) (ロング発表) 29.道路ネットワークを用いたGPS軌跡の特徴点を保持する圧縮アルゴリズムの提案 原木司, 廣田雅春, 横山昌平, 石川博(静岡大学) (ショート発表) 30.過去に蓄積した情報を呼び起こすシステムに関する一検討 米島まどか, 松村敦, 宇陀則彦(筑波大学) 31.「その場にいること」に着目した地図型情報共有システムの提案 杉原健一郎, 大塚直也, 松下光範(関西大学) 32.知識共有コミュニティの持続的発展のための制度設計- 制度により生じるユーザ間 インタラクションの分析 – 矢本光一, 山田和明(東洋大学) |
17:45-18:05 | 表彰式・クロージング |
特別企画(招待講演):「Webインテリジェンスとインタラクション研究の未来」
司会: | 土方 嘉徳(大阪大学) |
企画概要: | 新たにWebインテリジェンスとインタラクション研究会をスタートさせるにあたり,今後,同分野の研究にどのような展開が期待されるのか,どのように産業界に影響を与えるのかを考えてみたい.そこで第1回WI2研究会では,当研究会の主要な研究分野において,運営委員の5名により,その分野がどのように発展しそうか,次のトレンドは何か?,自分はどういうスタンスで研究していくつもりなのか,などについて語ることとする.主要な分野として,当研究会でもおなじみの,情報推薦,情報可視化,セマンティックWeb,インターネットセキュリティ,自然言語処理を挙げた.もちろん当研究会の扱う分野はこの5つに限らないが,時間の関係上,まずはこの5つの分野について今後の展開について方向性を示すこととした.研究会を立ち上げるに当たっては,トレンドを追うことも重要だが,我々がそれを生み出すことも大事である.本講演が,WI2研究会の参加者にとって,各分野のトレンドの形成に役立てば幸いである. |
特別講演題目と概要: | 1.Human-Recommender Interaction 土方 嘉徳(大阪大学) 情報推薦(推薦システム)の研究分野では,アルゴリズムや推薦方式の研究が中心となり,推薦の正確さを指標とした評価が行われてきた.このような研究のアプローチが主流となったのは,評価用データセットの整備が一因として挙げられる.しかし,実際に利用するユーザにとっては,推薦結果のみでなくそれを獲得するに至ったプロセスも重要である.ユーザプロファイル作成に必要な情報の提供方法,推薦のタイミング,その提示方法などが,ユーザ経験の質に影響を与えると思われるからである.このような推薦システム-人間系についての研究は,まだ十分に行われていない.本講演では,これまでの情報推薦の研究におけるトレンドの流れを説明したのち,最近の推薦システムにおけるヒューマンインタラクションの研究事例を取り上げ,今後のトレンドを示すことにする. 2.情報可視化によるテキストストリームデータのモニタリング支援 TwitterやSNSなどのソーシャルメディアやオンラインニュースなど,日々新しい情報が発生するテキストストリームデータは,Web上の主要リソースとなっており,これらを有効活用する技術が求められている.一方,情報可視化システムがこれまで主に対象としてきたタスクはプレゼンテーションおよび情報アクセス・分析支援であり,前者はstorytelling,後者はユーザの探索的行為の支援が主な目的であった.しかし,テキストストリームデータの活用を考えた場合,定期的に情報を確認するモニタリングタスクを支援することが必要であり,情報可視化システムの新たな応用として興味深い対象と考える.本発表では,テキストストリームデータのモニタリングタスクの概要,解決すべき課題について述べると共に,peripheral displayなどの関連研究についても紹介する. 3.セマンティックウェブの次のステップ:オープンデータと知的処理 セマンティックウェブ技術に基づいて多様な情報源のデータ連携を実現するLinked Open Data(LOD)は,標準化やRDFストアの開発が進んだことで実用段階に入った.すでに学術情報や政府・地方自治体などの公共情報の提供手段として用いられており,さらなる普及が期待できる.LODでは情報に対するグローバルな識別子としてHTTP URIが必須となるが,維持管理や異なる情報源における同一性の判別が大きな課題である.本講演ではLODの概要や実サービスでの利用・提供経験から得られた知見について述べるとともに,識別子をワークフロー,機械処理ならびにユーザ参加の3種のアプローチによって管理する手法の提案を行う. 4.研究成果の実用化に向けたセキュリティ・プライバシー保護技術の課題 Web インテリジェンス・インタラクション分野における研究成果を実用化する際,セキュリティ・プライバシー保護への配慮は必要不可欠である.例えばユーザの嗜好や行動を解析し,ユーザのニーズにあった情報推薦を行う技術を実際のサービスに適用する場合,単に推薦の精度を高めるだけではなく,推薦システムのセキュリティやユーザのプライバシーを保護するという課題を同時に解決する必要がある.これは,現実世界ではすべてのプレイヤー(ユーザおよび情報解析者)が公平にふるまうという仮定が成立しないためである.本講演では,Web インテリジェンス・インタラクション技術を実用化するにあたり検討すべきセキュリティ・プライバシー面での課題について議論すると共に,これら課題への対抗策に関する最新動向を紹介する. 5.CGMテキストを対象とした自然言語処理: 今後の展望と課題 CGMの出現によって,人々の行動や思考内容がテキストデータとして大量に発信,蓄積される時代が到来した.その結果,例えば評判分析など,テキストデータの解析を通して社会の動向を分析することに対する期待が高まっている.こうした背景から,近年の自然言語処理において,CGMテキストは研究の潮流を形成する軸の一つとなりつつある.すなわち,CGMテキスト解析に対する社会的なニーズの高まりを受けて,新しい課題が研究者に認識され,それに対する解析技術が進展するというサイクルを見ることができる.こうした現状を踏まえて,本講演では,CGMテキストが自然言語処理にどのような影響を与えてきたのか,そして,自然言語処理がCGMテキストと関わっていく中で,今後どのように発展すべきかについて議論を行う. |
表彰
WI2研究会では,出席したWI2委員全員により,全ての発表の聴講と評価を行っております.今回,各賞を受賞された研究は以下のようになります.
優秀研究賞
主観写真ライフログ探索のための時空人間の活用
中村聡史(京都大学)
萌芽研究賞
同行者コンテキスト依存の文書抽出およびトピック解析
深澤佑介, 太田順(東京大学)
学生奨励賞
潜在的意味を考慮したグラフに基づく複数文書要約
北島理沙(お茶の水女子大学)
(共著者:小林一郎(お茶の水女子大学))
副座長報告
セッション1:教育・学習支援とWeb
副座長:高間 康史(首都大学東京)
セッション1(発表件数:4)では,Webを活用した学習支援システム・ツールに関する発表が3件(ロング発表2件,ショート発表1件)あり,異なるプラットフォーム間で学習支援ツールの相互運用を可能とする標準規格LTIに準拠した学習支援ツールの開発,Twitterを活用したプレゼンテーションと連動型のレスポンスシステム,キャラクターをインタフェースに用いた学習継続支援ツールなど,Webを活用した学習支援システムについてデモや動画なども利用した説明があった.残る1件はユーザの習熟度と学習コンテンツの難易度を2部ネットワーク分析に基づき推定する手法の発表であった.いずれも活発な質疑応答が行われたが,キャラクターをインタフェースに用いた学習継続支援ツールに対しては,マスコットをインタフェースに用いた既存研究との違いについて質問があった.これに対し発表者からは,世界設定や物語性の有無が大きな違いであるとの説明があった.この他,作成者側の手間の問題や,一度クリアした後の問題などについて質問があり,マルチエンディングやエンディングのないストーリーなども可能ではないかとの意見もあった.
セッション2:情報推薦
副座長:加藤 文彦 (情報・システム研究機構)
セッション2(発表件数:4)では,クロスドメインの情報推薦に関するサーベイの発表があった.クロスドメインの情報推薦についての一般的な説明から問題点,各アプローチ等までよくまとめられていたため,もっと調査して頂いて招待講演していただきたいという意見があった.また,同行者コンテキスト依存の文書抽出およびトピック解析という発表があった.LDAを用いるときには良く位置依存や時間依存なトピックモデルと組み合わせることをするが,ここでは同行者依存なトピックに着目して,Twitterのログを用いてどれだけ同行者を推定できるかを評価していた.会場からは発言者の属性情報の扱いや一人の状態の扱い等に関する質問などがあり,活発に議論が行われた.
セッション3:ソーシャルインタラクション
副座長:杉原 太郎 (北陸先端科学技術大学院大学)
セッション3:ソーシャルインタラクション(発表件数:ロング2,ショート2)では、SNSベースの多人数参加型の合意形成システム,ライフログを利用した文脈対応型探索の可能性,アイドルが自ら持つソーシャルメディアにおける支持獲得,カメラを用いた集合知フレームワークについての4件の発表があった.合意形成システムは,実装の完成度が高く,名古屋市の観光についての議論を実際に行っていた.会場からは,議論を促進するための方策や,電子化された情報を利活用するためのアイデアについて質問があった.議論の推進・調停役が観光資源(名古屋城,テレビ塔,熱田神宮,科学館,なごや飯)を効率良く集会する手段の提供について有益な結論が得られたとの報告であった.ライフログの研究は,発表者がディジタル写真をログとして長年撮りためた経験をベースに,記録すること,記録したこと,記録した時の感情と相対することなど,ライフログの課題について列挙された後,ログを活かす手立ての一つとして情報検索・閲覧システムが提示された.会場からは,写真を単なる画像ではなくライフログのデータとして利用する際の困難さや,手法,考え方についての質問が相次いだ.この発表は,第1回研究会の優秀研究賞を受賞した.
セッション4:ユーザ行動分析
副座長:齋藤 ひとみ (愛知教育大学)
セッション4ユーザ行動分析(発表件数:5)では,blog, Q&Aサイト, Webの閲覧などWeb上で営まれる様々な行動に対する研究発表があった。ユーザの人格特性の違いとblogに書かれる文との関係を分析した研究では,実際のユーザとそのユーザ自身のブログを比較すべきではとの意見が挙げられた。Yahoo!知恵袋の質問・回答データを分析した研究が2件あり,回答に含まれたURLの種類やURL情報と評価の関係を分析した研究では,URL参照を含む回答がベストアンサーになる確率が高いことが示された。フロアからは,回答に含まれるURLの数との関係や,カテゴリによる違いについて質問が寄せられた。また,回答文の末尾に不読文字列がある短い回答を繰り返すユーザを分析した研究では,Q&Aサイトにおいても電子掲示板で見られる最初の書き込みを狙うユーザがいることを示した。フロアからは,Yahoo!知恵袋の初期設計に関わっていた方からYahoo!知恵袋の仕様が変更された時期との関係について検討すべきとの指摘がよせられ,結果の解釈や他の回答がない場合のベストアンサーを狙っているのではなど活発に議論が行われた。
セッション5:情報検索
副座長:河合由起子(京都産業大学)
セッション5:情報検索(発表件数3件)では、オノマトペから印象を形容詞尺度で数量化し、また色彩を推定することでオノマトペによる商品検索を目指す研究発表があった。研究の核となるオノマトペがもつ質感印象の定量化は、オノマトペを構成する音韻の印象尺度(43対)に対して被験者が評価した印象値を用いて、各音韻の印象値の線形和によりオノマトペの印象値を算出している。この際、オノマトペの出現順位も考慮される(質疑より)。システム設計は丁寧になされており、印象抽出や画像抽出、テキストマイニングといった技術をオノマトペに非常に上手く適応している。その結果、オノマトペという特性が生かされた萌芽性の高い研究と思われるので、是非、システムを完成させてロング発表をして頂きたい。その際には、質疑であった、印象尺度対の両極性を考慮することで評価値が中和されてしまうという既存問題に対する対応案も考慮されるとより良いのではないかと思われる。
セッション6:CGM分析
副座長:山本 岳洋(京都大学)
セッション6(発表件数:3)では、複数文書要約の改善や、レビュー文の記述対象の推定に関する2件の発表があった。いずれの研究もアプローチとしてトピックモデルを採用していた。他のセッションでもトピックモデルを扱った研究が発表されていたことからも、この分野におけるトピックモデルの重要性を表しているだろう。今回学生奨励賞を受賞した、複数文書要約へのトピックモデルの適用に関する発表を行った北島理沙さんは、提案手法を非常に分かりやすく説明しており、手法の本質的なアイデアに関するものから具体的な箇所にまで質疑が及び、活発な議論が行われた。また、Wikipediaの著者の質を編集履歴から推定する研究の発表があった。著者が記述した文章がどの程度削除・残存したかの度合いと、カテゴリに対する著者の知識量を用いて質を推定する手法を提案していた。参加者からはWikipediaの編集合戦の影響や、正解セットの作成方法、カテゴリを利用することの是非などの質問がなされ、こちらも多くの人による議論が行われた。
セッション7:ライフログ
副座長:北山 大輔 (工学院大学)
セッション7:ライフログ(ロング発表1件,ショート発表3件)では,GPSのログデータを圧縮する方式に関する発表があった.従来提案されている,道路データとのマッチングをとり,交差点のードを用いることで圧縮する方法に比べ同等の圧縮率の状態において,軌跡形状,移動速度をより保持することが可能であることが報告された.このような手法が目標とする所について関心が集まり,具体的なアプリケーションや圧縮率の目標について質問があった.圧縮を行うことで,GPSに含まれるノイズデータの除去にもつながり,適切な圧縮をすることは応用先での精度向上につながることが示された.また,「その場」という事に着目した情報共有システムに関する提案があった.これは,あるオブジェクトについて投稿可能な場所を,そのオブジェクト近傍に限定することで,実際に訪れたことがある人による情報のみを共有可能とするシステムで,口コミの信頼性を上げるものである.また,投稿後一定期間で自動的に削除されるが,閲覧者による評価が高いものはその期間が延長され,有用な情報だけが残るという機能も実装されている.会場から,レストランだと料理が運ばれてくるまでの時間が一番余裕があり,レビューのようなものを書こうと思うと,その場でしかかけないというのは条件が厳しく,訪れたことがある場所に関しては,後で書くことも可能にした方が良いというコメントや,注意喚起のような情報(例ではイノシシの出没の注意喚起で説明されていた)に関しては,閲覧者による評価に関してイノシシに遭遇しなかった時に,本当に閲覧者は評価するのだろうかという疑問が提示され,活発に議論が行われた.
運営委員会
実行統括担当:土方 嘉徳 (大阪大学)
プログラム担当:齋藤 ひとみ (愛知教育大学)
受付担当:加藤 文彦 (NII)
ローカル担当:大塚 真吾 (神奈川工科大学)
特別企画担当:土方 嘉徳 (大阪大学)
会計担当:井口 誠 (KII)