委員長の挨拶

「世代間を超えた議論ができる研究会を目指して」

WI2研究会委員長 大塚 真吾 (神奈川工科大学)

2020年7月より,2代目委員長の高間康史先生から委員長を引き継ぎました.前身となる電子情報通信学会WI2研究会が2004年に発足して16年が経ち,その後,2012年にARG WI2研究会として単独運営となり8年が経ちました.その間,ブログ,SNS,Wikipedia,Twitter,動画共有サービス,地理空間情報を利用したサービスなど,新たなサービスやアプリケーションが次々と誕生しました.また,これらのサービスを使って世間に影響力を及ぼすインフルエンサーやYouTuberの登場により,マーケティング分野にも大きな変革が訪れています.さらに,通信においては5Gの登場により,個人が取り扱う情報量は今後さらに増加することが予想されます.その一方で,ネット炎上,晒し行為,フィッシング詐欺,デジタルタトゥーなど,インターネットに関する問題は山積している状況にあります.当研究会は2004年頃にWebに関する研究を専門に議論する場を作るべく立ち上げた研究会であり,個人的には10年程度でWebやインターネットに関する研究はやることが無くなると予想していました.しかし,予想に反してWebに関する新しいサービスが次々誕生し,さらに,AIの第3次ブームの影響もあり,2020年時点においても,研究すべきトピックは沢山ある状況です.今後もWI2研究会において研究発表,および,活発な議論がなされることを期待しております.

話は変わり,現在,「Z世代」というキーワードが着目されています.これは概ね1990年代中盤以降に生まれた世代を指しており,2020年時点では25歳以下の世代です.生まれた時点からインターネットが利用可能であり,パソコンよりもスマートフォンを日常的に使いこなしている世代です.その前の世代は「Y世代」と呼ばれており,1980年代序盤から1990年代中盤(または2000年代序盤)までに生まれた世代です.2020年時点では25歳ぐらいから40歳ぐらいまでの世代となります.インターネット普及前の時代に生まれた最後の世代で,幼少期から青年期にIT革命を経験したデジタルネイティブの最初の世代です.それより前の世代は,大人になってからIT革命を経験した世代であり,概ね40歳以上の方です.WI2研究会に参加される方を世代に分類すると,若手教員,若手研究者はY世代,大学生はZ世代,大学院生はY世代とZ世代のどちらかとなり,中堅以上の教員や研究者はどちらの世代でもないということになります.世代間で考え方や価値観は異なっているため,特にITと密接に関係しているWI2研究会においては,世代間の対立構造とならないように,各々が自分の経験や体験だけに基づいて議論を行わず,建設的な議論を行えるような環境作りに努めていきたいと考えております.

最後に,本研究会では当初から企業の方が多く参加されており,企業スポンサーの方々には様々なご支援を頂いております.WI2研究会としても,人的交流の推進や企業と大学の研究連携などのサポートについて努力していきます.